用語集

那珂市の野外観察、自然体験の学習で出てくる地質についてまとめた用語集のページです。
学習中に出てきた難しい用語は、ここで調べよう!

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あ行

安山岩(あんざんがん)
安山岩(あんざんがん)

火成岩の一種。SiO2 が 53~63wt% の火山岩と定義される。深成岩の閃緑岩に対応する。

か行

海進(かいしん)〜後背湿地(こうはいしっち)
海進(かいしん)

陸地の沈降(ちんこう)または海水準の上昇によって海岸線が陸側へ前進すること。
海進にともなって、それまでの陸地が海となり、また海はより深くなる。海進によってあらたに海底となった場所では、基盤(きばん)や陸成層の上に海成層の堆積がはじまるが、海成層の堆積の場はしだいに陸側へ広がっていき、海成層の下底には広い範囲にわたって不整合が認められることが多い。

海水準(かいすいじゅん)

陸地に対する海面の相対的な高さ。海水準が上昇することは海進、下降することは海退と呼ばれる。

海成層(かいせいそう)

海中で堆積した堆積物からなる地層。
れき、砂、泥などがよくふるいわけられ、成層状態がよく、広がりも大きい。主として海生化石を含む。堆積の場所により浅海成層、半深海成層、深海成層に分ける。

海退(かいたい)

地盤の隆起(りゅうき)または海水準の低下によって海岸線が海側へ後退すること。
海進と逆の現象。海退にともなって、それまでの海底があらたに陸地となり、また海はより浅くなる。
地形的には、海退によって広い海岸平野を生ずることが多い。
海岸線が海側へ後退すると、それまで沖合で細粒の堆積物がたまっていた場所に、沿岸成さらに海浜成の粗粒の堆積物が堆積するようになり、ある地域の地層の垂直断面では、深海成層から上方に向かってしだいに浅海成層に移行するなどの変化が認められることになる。

河岸段丘(かがんだんきゅう)

河川に沿って片側ないし両側に分布する階段状の地形で、谷底平野が川の侵食の復活のため河床より高く台地上になった地形と定義されている。
氷河時代に海水面が下がり、河川は底を削られ深い谷を刻む。そこで河原が水面より一段と高くなる。
氷河時代が終わると海水面が上がり、砂れきの堆積により川幅を広げる。大洪水にも同じようなことが起こる。
これらが繰り返し起こって数段の河岸段丘がつくられる。河川によって形成されたことを強調して、河成段丘ともよぶ。

花崗岩(かこうがん)

火成岩の一種。流紋岩に対応する成分の深成岩である。石材としては御影石(みかげいし)とも呼ばれる。

河谷(かこく)

川の流れで浸食されてできた谷。

河道(かどう)

川の水が流れる道筋。堤防のある場合はその間の区域をいい、ない場合は高水位のときに流水が占める区域をいう。

岩質(がんしつ)

岩石の性質

岩相(がんそう)

堆積物の岩石的性質

頁岩(けつがん)

シルトや粘土の堆積岩(たいせきがん)で、板状に薄くはがれる性質のもの。泥板岩。シェール。

洪積世(こうせきせい)

地質時代区分の一つ。更新世(最新世ともいう)と同義である。
第四紀は、洪積世(更新世)と沖積世(完新世)に区分され、地球の歴史の現代に当たる沖積世より以前の、200万~1万年前が洪積世である。

洪積土(こうせきど)

洪積世(正しくは第4紀更新世)の時代、つまり、今から約200万年前から1万年前までの間に、当時の河川など土砂が堆積し、その後隆起(台地を形成)したまま、沖積世の時代には余り変化を受けない状態でできた土壌をいう。
台地土あるいは洪積土というが、洪積世より古い時代(第3紀)に出来た土壌も含めて言うことが多い。

後背湿地(こうはいしっち)

沖積平野にある低平・湿潤な地形のことである。
主に自然堤防などの微高地の背後(川に面したときの)に形成された低湿地をいう。
また、海岸の砂丘や砂州などについて、海に面したときの背後に広がる低湿地も後背湿地と呼ばれる。
川や海との間に自然堤防や砂丘・砂州などの微高地があり、これらの微高地よりも粒径の細かいシルトや粘土のような堆積物によって覆(おお)われているために排水性が悪く、しばしば埋め残された三日月湖などの湖沼が分布する。
日本のように水稲栽培(すいとうさいばい)の卓越する地域では、開墾(かいこん)され伝統的に水田として利用されてきた。
特に治水技術(ちすいぎじゅつ)や土木技術の発展した江戸時代以降、湿地の排水や湖沼の干拓による新田開発が盛んに行われた。

さ行

最終氷期(さいしゅうひょうき)〜石基(せっき)
最終氷期(さいしゅうひょうき)

およそ7万年前に始まって1万年前に終了した一番新しい氷期のことである。
最終氷期の最寒冷期は、カレンダー年代で2.1±0.2万年前。

砕屑物(さいせつぶつ)

岩石が壊れてできた破片や粒子。
泥や砂や礫がこれにあたるが、砂は粗砂と細砂、泥はシルトと粘土に大別することができる。
砕屑物によって構成されている堆積岩を砕屑岩と呼ぶ。

砂岩(さがん)

主に砂が続成作用により固結してできた岩石。
堆積岩でもっとも一般的なものの一つ。砂岩の構成鉱物は石英と長石が主で、これらに既存の堆積岩や変成岩などに由来する岩片が加わる。

下末吉海進(しもすえよしかいしん)

約12万5000年前の間氷期に、地球の温暖化によって日本各地の平野部に海が進入した大規模な海進のこと。
その規模の大きさから縄文(じょうもん)海進が起きた6000年前よりも下末吉海進が起きた時期(下末吉期)は温暖な気候であったとされている。

シルト(しると)

砂より小さく粘土より粗い砕屑物のこと。
地質学では、泥(粒径が1/16mm以下のもの)の中で、粘土(粒径が1/256mm以下)より粒が大きく粗いもの(粒径1/16mm~1/256mm)をシルトと呼ぶ。

深成岩(しんせいがん)

火成岩の一種で、マグマがゆっくり冷えて固まったもの。
深成岩とはいうものの、地球深部で固まるものだけを指すのではなく、地上付近でゆっくり冷え固まってもそれは深成岩である。

新生代(しんせいだい)

地質時代の大区分で、最も新しい時代。
6500万年前から現在まで。第三紀と第四紀とに二分される。哺乳類(ほにゅうるい)の全盛時代。

新第三紀(しんだいさんき)

地質時代の区分の一つで、2,303万年前から258万年前までの時代を指す。
新生代の第2の紀であり、古第三紀から続き、第四紀へつながる。
新第三紀はさらに、中新世・鮮新世の2つに時代区分される。

石英斑岩(せきえいはんがん)

石英とアルカリ長石(ちょうせき)の斑晶をもつ岩石で、斑晶は一般に正長石(せいちょうせき)で、雲母(うんも)を含む場合もある。
斑晶の量が非常に多くなると花崗斑岩に移行する。

石基(せっき)

火成岩にみられる、斑晶を取り囲んでいる細粒の結晶やガラス質の部分。
マグマが地表や地表近くで急激に冷えたさいにできる。

た行

第三紀(だいさんき)〜泥質岩(でいしつがん)
第三紀(だいさんき)

新生代を 2 分したときの古い方の紀。新第三紀と古第三紀に 2 分される。今から約 6550 万年前から約 258 万年前まで。哺乳類と双子葉(そうしよう)植物が栄える。

第三系(だいさんけい)

第三紀に形成された地層や岩石。日本ではこの地層の分布が広く、石炭・石油・金属鉱床に富む。第三紀層。

第四紀(だいよんき)

人類が現れて以降、現代を含む時代。地質時代のうちで最も新しく、今から約 258 万年前から現在までの時をいう。人類の発展の時代。

段丘(だんきゅう)

河川、谷筋などに沿って分布する階段上の地形。ほぼ水平で平たんな地表面(段丘面(だんきゅうめん))とその前方あるいは背後の急傾斜な崖(段丘崖(だんきゅうがい))からなる。
段丘は過去の水面(河川など)に関連して水中で形成された平たん面がその後に離水した地形をさし、河岸段丘などに区分される。
段丘面はかつて河川が流れていた当時の旧河床、氾濫原で、川の下刻作用(深くほりさげる作用)によって洪水位より十分高い位置に離水した地形である。段丘面は地下水面が低く、段丘崖の下には湧水が出ていることが多い。

地層(ちそう)

平面上に広がっている、土砂などが堆積してできた堆積物・堆積岩。
別々の地層は、層と呼ばれ、これが地層分類の基本単元となる。層の固有名については、それぞれの層が広く露出していて研究に役立った地域(模式地)の地名から名前がとられ、「~層」と名づけられる。
岩相ではなく、地質年代で層序を区分する場合は、地質年代により、地名ないし地質年代区分名の後に~界、~系、~統、~階とつけて区分する(例:新生界、新第三系、中新統)。

チャート(ちゃーと)

堆積岩の一種。主成分は二酸化ケイ素(SiO2、石英)で、この成分を持つ放散虫(ほうさんちゅう)・海綿(かいめん)動物などの動物の殻(から)や骨片(微化石)が海底に堆積してできた岩石。非常に硬い岩石で、層状をなすことが多い。

中新世(ちゅうしんせい)

地質時代の新生代新第三紀を 2 分した時の古い方の時代。今から約 2300 万年前から 533 万年前までの期間。

中生代(ちゅうせいだい)

古生代・中生代・新生代と分かれる地質時代の大きな区分の一つである。
約2億5217万年前から約6600万年前に相当し、恐竜(きょうりゅう)が生きていた時期にほぼ対応する。

沖積世(ちゅうせきせい)

地質時代区分の一つ。完新世あるいは現世と同義である。
第四紀を2分した後期の時代で、約1万年前から現在までを含んでいる。

沖積層(ちゅうせきそう)

約2万年前の最終氷期最盛期以降に堆積した地層のこと。
沖積層は地質学的に最も新しい地層である。
最終氷期の最寒冷期において、大地は洪積層に覆われ、海面は現在(完新世)よりも約120m低かった。
発達した氷河や河川のはたらきによって、洪積層は削り取られ、河谷を形成した。
最終氷期後期に入り、海面が上昇すると、それまで河谷であった河川の下流部に土砂が堆積し、周りの洪積層(洪積台地)よりも一段低い低地(沖積平野)を形成した。
このようにしてできた地層を沖積層という。地形としては、平坦で湿地が多い。

沖積土(ちゅうせきど)

沖積世(正しくは第4紀完新世)の時代、つまり、今から約1万年前から現在までの時代に、河川の氾濫などで土砂が堆積して出来た新しい土壌をいう。
沖積地(沖積平野)や扇状地(せんじょうち)の地形に分布し、低地土あるいは沖積土という。

泥質岩(でいしつがん)

粘土の粒度(1/256mm以下)の粒子でできた堆積岩。
粘土、石英の細粒、岩石粉などの破片が堆積した岩石の総称。

は行

斑晶(はんしょう)〜風成(ふうせい)
斑晶(はんしょう)

斑状の火成岩の中で、細粒またはガラス質の石基中に 散在する比較的大きな結晶。
普通は肉眼で認められる程度の粒度のもの。

氾濫原(はんらんげん)

河川の流水が洪水時に河道から氾濫する範囲にある平野部分をいう。河川の下流部によく発達する。

氷期(ひょうき)

地質時代の特に最新の260万年に、現在より寒冷でより広く氷河が発達した時代の氷期と、温暖で氷河が縮小した間氷期とが繰り返し地球を見舞った。
氷期には大陸に厚い氷床が発達して海水面が低下し、間氷期には氷が解けて海水面が上昇した。

風成(ふうせい)

風の作用でできあがること。また、そのもの。

ま行

埋没段丘(まいぼつだんきゅう)〜三日月湖(みかづきこ)
没段丘(まいぼつだんきゅう)

日本の主要な平野のように臨海部に発達する沖積平野では、その形成に際して最終氷期以後における海面変化の影響を強く受けている。
沖積平野の地下には、海面が低下した時期に形成された河谷や河岸段丘がその後の海面上昇に伴う沖積層の堆積によって埋積され、埋没谷や埋没段丘として存在している。
また、約6000年前の縄文時代前期ころには、急激な海面の上昇に伴って平野の内陸部にまで海が侵入し、入江が形成されていたことが知られており、平野の地下に発達する沖積層には厚い海成粘土や、当時の入江に生息していた貝の化石などが認められる。

三日月湖(みかづきこ)

蛇行(だこう)する河川が長期の侵食などの影響により河道を変えた際、旧河道が取り残されて池や湖となったものである。河跡湖(かせきこ)とも呼ばれる。
氾濫原の中を蛇行する河川は、僅《わず》かな地層、地形の変化で幾つものカーブを創り出す。カーブの外側では侵食、内側では堆積が行われるために、カーブは徐々に大きなものとなり、根元の括れが小さくなっていく。やがてカーブ同士が接合して流路が短絡されると川の水は短絡路を流れるようになり、大きくカーブしていた旧河道は流れから取り残される。
その結果、新河道と旧河道との間に土砂が堆積して旧河道は河川から切り離されて湖となる。多くの場合、この湖は三日月形となる。また、河川改修にともなう人工的な流路変更によって同様の地形が作り出されることがある。

ら行

陸成層(りくせいそう)〜露頭(ろとう)
陸成層(りくせいそう)

陸地で形成されたすべての堆積物

流紋岩(りゅうもんがん)

火山岩の一種。花崗岩に対応する成分の火山岩である。
流紋岩の名称は、マグマの流動時に形成される斑晶の配列などによる流れ模様がしばしば見られることによる。

礫(れき)

砂よりも大きい岩石片、すなわち、一般に直径2mm以上のもの。
大きさにより、さらに細れき(2~4mm)、中れき(4~64mm)、大れき(64~256mm)、巨れき(256mm以上)などに分ける。れきからなる層をれき層という。

露頭(ろとう)

野外において地層・岩石が露出している場所。
河床など自然な場所のほか、林道などの切り割り、工事現場など人工的に露出している場所も含む。地質学の野外調査では露頭を観察することが中心となる。
露頭からは地層の上下関係、化石や鉱物の産状をはじめとする様々な地質についての情報を得ることができる。